おなじゆめをみて

主に丈一郎くんと関西Jr.についての覚え書き

終わりのない営みへ/デビューおめでとうの

2021年7月31日に関西ジャニーズJr.の夏の松竹座公演を観に行った。今年の夏は舞台ではなく、サマースペシャルという名のコンサートだった。丈くんはもちろんそこにはいないけれど、丈くんが松竹座で、大阪城ホールで、京セラドームで、他にもいろんな土地で踊っていた曲がいくつかセットリストに入っていた。横浜アリーナで丈くんのデビューが決定してから三日しか経っていなかったこともあって、何度も丈くんのことを思い出した。

丈くんは17年半ジャニーズ事務所所属のアイドルをやっているので、私が見てきた期間は短い。それなのに感慨深くなって参ってしまった。幻想的で閉塞的な松竹座で、関西ジャニーズJr.のひとりとして踊る丈くんを見ることはもう無いのだとそこで初めて思い知った。丈くんがなにわ男子に選ばれて、デビューが実体を伴って現れるようになってからは一刻も早くデビューしてほしいと願っていたはずなのに、いざその時が来ると寂しいと思うのは矛盾しているのだろうか。ステージの上にたくさん人がいて、めいめいが思うままに動いている松竹座。その中でひときわ楽しそうな丈くんを好きになったのだと思い出した。



7月28日水曜日の横浜は、駅から会場までのあの距離でも日傘を持ってきてよかったと思うくらいによく晴れた気温の高い日だった。

正直なところ、なにわの日横浜アリーナでコンサートが開催されると発表があった段階で、割とかなり期待していた。なにわ男子のみなさんにとってもこの日の公演はプレッシャーがあったと書いてあるのを雑誌で読んだけど、それは私(たち)も同じであった。これまで何かにつけて勝手に期待しては裏切られた気になって、そのたびに落ち込んできた経験があるので、過度な期待をしないようにと自分を戒めた。それでもこの日はさまざまな要素が重なり合って、五割増しで期待値の高い現場となっていた。

前半が滞りなく終わってMCの時間がくると緊張していたことを思い出した。なにを喋っていたのか今となっては思い出せないけれど、仙台のときと同じように七人で少し喋ったあと生配信が始まった。今回のツアーではMCでのゲームコーナーを毎公演YouTubeで生配信していた。ゲームのタイトルがモニターに映し出される。読み上げる丈くんの声が横顔が、打ち合わせと違う内容だと言っていて、友人と手を取り合った。

そこからはご存知のとおりで、サプライズでのデビュー発表があった。デビュー発表があるに違いないとその場にいる誰もが思っているのに、デビューの文字を見るまでが長くて永遠を感じた。永遠の中でいろんなことを考えた。よかったという気持ちがいちばんで、ほっとした。ようやくだった。もうデビューハラスメントを受けることもなくなるし、いつデビュー発表があるのかと怯えなくてもいいし、どこか知らない遠くのひとから報われてほしいなどと言われなくて済むのだとも思った。

横浜アリーナの大きなステージの上で肩をぎゅっと寄せ合って喜ぶ七人は、これからどんなことがあっても絶対だいじょうぶだと思わせてくれる眩さがあった。昨今のジャニーズJr.の仕事を見ていて、「したことないのはデビューだけ」みたいななにわ男子を見て、デビューとは一体なんなのだろうとこの日まで何度も考えた。けれどもあれだけ嬉しそうな丈くんたちを見ていると、デビューが決まってよかったと心から思えた。

発表後は余韻に浸る暇もなく、割とすぐにコンサートが続けられた。「憑き物が落ちたように」とよく言うけど、次に出てきたときには確かに晴れ晴れとすっきりした表情の丈くんたちがいた。それを見てまた嬉しくなったし、よかったねと何度も心の中で丈くんに声をかけた。その日のコンサートの挨拶で何人かが「まだ実感がわかない」と言っていた。私もコンサートを終えてLINEの通知を見て改めて、デビューするんだとひとつ実感することができた。




11月12日、丈くんがCDデビューを果たした。これから先いつなにがあるか分からないし、永遠なんて無いのは知っているけど、それでも今はただ、なにわ男子がずっとこのまま七人仲良く健康に活動をしてくれますようにと願わずにはいられない。先日観に行った関ジャニ∞のコンサートで村上くんが「関ジャニ∞のためならどんな泥水でもすすってやるという気持ちです」と言っていた。グループはひとりでに続いていくわけではないし、良いこともあれば悪いこともあるだろうし、不測の事態も起こるかもしれない。それでもできるだけ長く続けていてほしい。今の私はそう思ってしまう。


私にとって丈くんを応援することは、丈くんが主人公の物語を読んでいるような感覚だ。丈くんも「デビューを機にジャニーズとしての一章を終えて二章に入っていく」みたいな意味のことを言っていたけれど、ただのファンである私にとってもデビューは一区切りだ。どのコンサートに出演するかを予想しなくてもいいし、千穐楽のたびにこれが最後かもしれないと重たい手紙を認めることもないし、なにをしたいのか分からないと江坂のトリキでぐずぐず考えることも、たぶんもうないだろう。

先述した夏の松竹座公演のセットリストにKis-My-Ft2の「キミとのキセキ」があった。京セラドームでキスマイのバックとして踊っていた丈くんを思い出した。「いつかささやかなキミの夢が 地上に舞い降りるとき 誰よりも側で僕が見届けていたい」を、ジャニーズJr.のファンの例にもれず、そうあればいいなと思ってうちわを振っていた自分のことも思い出した。ただのエモ語りになりそうなのでここでやめるが、丈くんがなにわ男子に選ばれてデビューして、今まで憧れていたものがひとつずつ見られることをただ嬉しく思う。


丈くんとなにわ男子の第二章が輝かしいものでありますように。それは他人から見て明らかに輝かしいものでなくとも、七人にとって大切にしたいと思えるものでありますように。すこやかに活動できることを心から願って、これを結びとしたい。丈くん、CDデビューおめでとう。